中期計画目標の達成に向けて事業運営を進めるうえで、主なトレンドは以下のとおりです。

オンライン生保市場の拡大

証券・銀行・住宅ローンなど隣接する金融業界においては、金融サービスのオンライン化という不可逆かつ構造的変化が加速し、すでに多くのお客さまが、スマートフォンなどを用いて日常的にオンラインで金融サービスを利用する、といった行動様式の変化が生じています。 

金融サービスのオンライン化の浸透

オンライン証券※1

75.3%

オンライン銀行※2

61.6%

オンライン住宅ローン※3

45.6%

  1. 全国証券会社顧客口座数に占める、インターネット取引の有残高口座の割合
  2. ネットバンキングの利用率
  3. 民間ローン利用者のうち、「ネット銀行で提供されている住宅ローン」、「一般の銀行で提供されているネット専用の住宅ローン」いずれか、もしくは、両方を利用している割合(2019年度)。

そのような金融サービスのオンライン化という構造的な変化を背景として、生命保険業界においても他の金融サービスと同様にオンライン化が進み、オンライン生保市場の成長可能性は拡大の一途にあると考えています。実際、「生命保険に関する全国実態調査」のアンケート調査によると、「今後オンラインで生命保険に加入したい」と回答した割合は上昇傾向にあり、オンライン生保ビジネスを展開している当社にとっては目の前に大きな成長機会が広がっています。

 

一方で、オンラインで保険商品・サービスを提供する企業も増えています。当社がオンライン生保市場において圧倒的な地位を確立し続けるためには、提供価値の一層の磨き上げや新たな価値創出が必要であると認識しています。

オンラインチャネルでの今後の加入動向

オンラインチャネルでの加入動向を示す折れ線グラフ。2010年から2022年にかけて、インターネットで加入したいと考える割合(濃い緑線)は5.9%から18.0%へ上昇し、実際にインターネットで加入した割合(薄い緑線)も1.0%から4.4%に増加。吹き出しで「オンライン生保の大きな成長可能性」と強調している。

若年層を起点とするテクノロジー活用の拡大

オンライン生保市場の拡大が見込まれる中、当社(当社グループ)が事業規模を今後さらに拡大していくためには、時代とともに変化するお客さまの生活様式やニーズの変化に適応し、常にその時代の若年層から選ばれ続けることが重要であると考えています。

 

当社(当社グループ)が特に若年層に注力する背景には、若い世代の方々こそが最新のテクノロジーを多世代に浸透させていくアーリーアダプターの存在であるためです。スマートフォンなどを用いた利便性の高いサービスを提供することで、より多くの若い世代のお客さまに支持され続けることが、オンライン生保の幅広い世代のお客さまへの浸透につながっていくものと認識しています。 

オンライン生保の成長を若年層が牽引することを示す図。中央に若年層のイラストがあり、周囲に「マイナンバー」「SNS」「アプリ」「AI」のアイコンが配置され、矢印で他の年齢層(高齢夫婦、子育て世代、IT活用層)へとつながる。左側に「若年層から他の年齢層に最新ITテクノロジーが浸透」「オンライン生保の成長も若年層が牽引」と記載している。

また、若年層は相対的に所得が低い傾向にありますが、これから迎えるライフイベントが多い世代であり、生命保険を最も必要としている世代といえます。生命保険は、「ころばぬ先の杖がほしい」という希望から生まれてきたことが原点です。私たちライフネット生命は、生命保険がお客さま一人ひとりの次の一歩の背中を押す存在であってほしいと思っています。経済的な不安からお子さまを持つことをためらったり、将来への不安から挑戦することに躊躇したりしてしまう、そういった若い世代のお客さまに、当社の必要十分な保障をお守りにして、前に進んでいってほしいと考えています。 

金融経済圏の拡大

近年、通信やECなどの非金融企業がオンラインを活用した金融サービスへと事業領域を広げていく事例が増加し、各社が巨大な経済圏を構築しています。決済サービスやポイントプログラムを基軸とした経済圏に保険ビジネスが組み込まれることにより、オンライン生保市場のさらなる拡大が期待されます。 

今後も魅力ある商品・サービスの開発・提供に注力するとともに、グループ全体のブランド力の強化を通じて、パートナー企業に選ばれる存在であり続けることが重要だと考えています。 

EC(電子商取引)や通信から金融事業へ進出する流れを示す図。左側に「EC」「通信」のアイコンがあり、右向きの矢印「金融事業に進出」へとつながる。矢印の周囲には「決済」「ローン」「投資」「保険」「銀行」のアイコンが配置され、右側には「パートナー企業独自の巨大な経済圏を構築」と記載している。