当社は、新たな経営方針及び中期計画を策定しました。中期計画に掲げた成長戦略を軸として以下の対処すべき課題に取り組み、持続的な企業価値の向上を目指します。
重点領域「Tech & Services」に注力することで、個人保険事業及び団体信用生命保険(以下、団信)事業におけるお客さまのさらなる利便性向上を実現するとともに、生産性を高め事業費効率の改善を目指します。AI(人工知能)やマイナンバー制度等のITサービスを活用し、生命保険のインターネット企業として、先進性のある保険サービスの提供に努めます。保険申込のご検討者に対してアプローチ方法を高度化することや、お客さまの各種手続き(お申し込み・ご契約中・保険金給付金のご請求等)の利便性を高めることに取り組み、顧客体験の一層の向上を目指します。また、お客さまに対してより良いサービスを提供できるよう様々なデータの活用のさらなる推進を行いながら、生産性を高めることで事業費効率の改善に努めます。
重点領域の「Rebranding」に取り組み、ライフネットブランドを今の時代に合わせて更新することで、オンライン生保のリーディングカンパニーとしての提供価値を一層磨き、競合他社とは一線を画した存在になることを目指します。競争環境の激化が進む中で、主力のダイレクトビジネスにおいて、新たな成長モデルを確立し力強い再成長を実現するための道筋を描く必要があると考えています。そのためには、改めて若年層のお客さまから選ばれ続けることが重要であるという認識のもと、支持される商品・サービスの強化、ライフネット生命保険のイメージの再構築、ナーチャリング手法の確立等を進め、量的拡大を可能とする新たな成長モデルの構築に努めます。
当社グループは、重点領域「Embedded」に注力し、個人保険事業のパートナービジネス及び団信事業において、収益機会の拡大を目指して、各協業先との取組みを強化するとともに新規協業先の開拓に努めます。
まず、個人保険事業のパートナービジネスにおいては、パートナー企業の重点領域や経済圏の中に保険ビジネスが積極的に組み込まれていくことを目指して、当社グループの経営資源の投下を強化します。現在の主なパートナー企業について、三井住友カード株式会社とは、2023年12月に提供を開始した「Vポイントが貯まる保険」を軸に新たな成長源となるよう取組みを進めます。KDDI株式会社とは、グループ内の連携を通じて保険ビジネスのau経済圏への組込みを強化することに努めます。また、株式会社マネーフォワードとは、先方の提供するPFM(Personal Financial Management)サービスとの連携強化を図り、パートナービジネスの成長に貢献するよう取組みを続けます。さらに、高いブランド力と幅広い顧客基盤を有する新たな企業との協業についても積極的に検討してまいります。将来的には、パートナービジネスがダイレクトビジネスと並ぶ当社グループ事業の成長を支える柱となることを目指します。
次に、2023年7月から開始した団信事業については、今後の新たな収益源となるよう事業の拡充を目指します。利便性を追求した商品・サービスの提供を通じて、団信のご加入者と契約者である銀行にオンライン生保ならではの価値を届けてまいります。昨年開始したauじぶん銀行株式会社との団信事業の取組みは順調な立ち上がりとなりました。引き続き、先方と協議を行いながら団信商品の検討・提供を行うことで、新規の住宅ローン契約の増加に貢献してまいります。また、新たなパートナー銀行の開拓にも取り組みます。魅力ある団信商品の提供に加え、昨今金融サービスにおいてもオンライン化が進展する中で、オンライン生保である当社グループと提携することで銀行のDX(デジタルトランスフォーメーション)化の推進にも寄与することを目指します。
当社グループは、業界の常識にとらわれず、中長期にわたって力強い成長を実現することを目指して、マテリアリティに掲げる「多様性を大切にする」「成長の機会をつくる」を軸に人的資本強化への取組みを推進します。その中で、新たに掲げた中期計画の人材戦略において、個人保険と団信の両事業を横断する3つの重点領域に注力するために組織体制の移行を推進することに加え、従業員の成長と事業成長の好循環の創出、「ライフネットの生命保険マニフェスト」(以下、マニフェスト)を基軸とした組織風土の維持・強化に努めます。
組織体制移行の推進については、全社一丸となって3つの重点領域に取り組めるよう組織の枠組みを超えた活動を強化するとともに人材の戦略的配置を行います。次に、従業員の成長と事業成長の好循環の創出について、当社グループは、開業以来多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に採用し、オンライン生保という類のないビジネスモデルを作り上げてきたと考えています。今後は、社内の人材育成にも重点を置き、各従業員が持つスキルを活かしながら新たな業務にも挑戦できる環境を強化することで、個人の成長を事業の成長に繋げ、企業価値の向上を図ります。さらに、マニフェストを基軸とした組織風土の維持・強化については、マニフェストに基づいた事業運営を行うことが当社グループの経営理念の体現であり、また魅力ある多様な人材の確保に寄与していると認識しています。事業の拡大に伴い組織が大きくなる中で、改めてマニフェストを基軸にした社内風土を醸成し、多様な知見・経験・アイデアを持つ従業員が活躍できる環境と重点領域に注力できる推進体制を強化します。